マンション管理のアドバイス

  • Home
  • マンション管理のアドバイス

長崎県マンション管理組合連合会では、マンション運営の参考にしていただきたく、当団体加盟のマンションの取り組み事例をホームページで紹介することにいたしました。その内容は、「管理経費を下げるための取り組み」、「適正な運営を行うための取り組み」です。

Ⅰ.管理経費を下げる取り組み

① 委託料を入札で決めていますか。

2年契約で月額60万円程の委託料を管理会社に支払っていたマンションが、多くのマンシ ョンに倣い、契約期間を1年に変更した上で、これまでと同じ委託業務内容で3社の競争入 札をしたところ、委託料を年間120万円程下げることができました。なお、見積書提出に は2カ月以上を要することもありますので、3カ月以上前から入札参加業者を選定する必要 があります。

競争入札で委託料引き下げ(マンション管理基礎セミナー発表実例)

長崎市建設局建築部住宅課が主催し、一般社団法人長崎県マンション管理士会の田代圭介 氏が講師となって説明された『管理コスト削減を実現して資産価値を維持・向上させる』の 中で管理会社への委託費見直しを行った大規模マンションの実例1件を紹介します。

全部委託 A社 約1,960万円
     B社 約1,140万円
○年間委託費 820万円削減(約42%減)見直しに要した期間 約2年
○管理組合で6社から見積り取得後、各社のプレゼンテーション実施

② 管理員の勤務体制を考えてみませんか。

管理員の勤務時間を週40時間でスタートしたマンションが多いと思います。1日2~3 時間で週2日~5日勤務など、労働条件を変更しマンションの管理にそれほど支障なく経費 削減に成功した事例もあります。

③ 証拠資料は業者の領収書になっていますか。

管理会社が支払った相手の領収書ではなく、管理会社が作成した支払証明書や領収書を採用 していませんか。これでは支払額が特定できず、不正な管理と言わざるを得ません。

④ 管球、消耗品は正常に管理されていますか。

管球や消耗品の管理を管理会社に任せている場合、購入額が多くなることがあります。 管球の場合は会社に種類別に取替記録を作成させること。そして、清掃用品や事務用品を含め、 管理組合の許可なしに購入できないようにすると支出額が著しく減少する場合があります。

⑤ 見積合わせや競争入札で請負業者を選定していますか。

複数業者から見積書を取得せずに、グループ会社と随意契約する。また、多様な工事などの 大半をグループ会社が請負う。このように様々な手段で自らの利益を得ようとする管理会社が あります。このような場合はグループ会社を一切使わないことを会社に認めさせ、見積合わせ や競争入札で請負業者を決定することが大切です。なお、見積書の取得にあたっては公平性を 保つこと、また、管理会社だけに任せないことにも留意しなければなりません。

Ⅱ.適正なマンション運営を行うには

① 管理会社に頼り過ぎない自治活動が行われていますか。

近年のマンションは集会室がありません。集会室があれば毎月定例理事会を開催するなど自 治活動の推進ができます。しかしながら、管理会社によっては居住者の多くは近所付き合いな どを望んでいない旨説明し、居住者が自治活動に関心を持たないように誘導することがありま す。

設立総会以降、通常総会の出席組合員が年々減少したマンションで、管理会社の対応に多く の問題を抱えたマンションがありました。通常総会の場や管理組合ニュース発行により情報の 周知と共有を図ることにより、多数の出席者を得る状態に回復しました。管理組合の強化には、 理事会を適正に開催し組合員全てに関心をもってもらうことが大切です。

②役員選出が管理規約通りに行われていますか。

一般的な役員選出は、立候補や輪番制です。管理会社が恣意的に輪番制を無視しようとしたマンションがありました。会社の思惑は通常総会で問題点が指摘され、正常な決定がなされました。利益追求などのために平気で不正を働く会社には厳しい対応が必要です。また、管理組合の継続性を維持するために役員を半数ずつ改選することをおすすめします。

③管理会社は第三者委託(外注)により業務を遂行していますが、会社が委託する業者の良し悪しは慎重に検討しなければなりません。また、管理組合が直接発注することもできます。

マンションの維持運営には様々な業務があり、管理会社と契約する方法が一般的ですが、会社 は第三者に委託することが多く、請け負う業者に問題がないか留意し、業務遂行などに不適切 な会社があれば、管理会社との委託契約更新前に請負業者の見直しを求めることができます。 なお、掃除など結果が分かり易い業務は管理会社に委託するのでなく、管理組合が直接発注し、 自主管理しているマンションは少なくありません。

④ 議事録は真摯に作成されていますか。

議事録作成は管理会社が行いますが、会社に都合が悪い内容は記載を省くことがあります。 理事長や議事録署名人は内容を確認し、記載内容の誤りや記載漏れがあれば厳しく指摘しなけ ればなりません。

⑤ 管理費が安いマンションの大規模改修積立金は大丈夫ですか。

管理費が低額でも駐車場収入が多額にあって、収支に余裕があるマンションがあります。このようなマンションは修繕積立金も低額な場合が多いと思われます。国土交通省の修繕積立金のガイドラインもありますが、一般的には大規模改修には1世帯あたり100から120万円が近年の目安とされています。 大規模改修時に不足額があると、借入金で賄う方法と不足額を組合員から一度に徴収し支払 う方法があります。不足額が生じないように積立金の見直しを行う必要があります。 また、駐車場収入が多い場合、駐車場改修の所要経費も多額になります。

⑥ 重要書類は適切に管理されていますか。

会計元帳と領収書類以外の原本は管理会社に管理を委託し、会議議事録(写し)や関係書類は、組合員個々に渡されているものの、管理組合にはその保管がないマンションがあります。 管理組合は、会議議事録やその関係資料を整理保管し、組合員の閲覧に対応できるようにしなければなりません。このためには、文書管理規程を設け永年保管の書類を限定することも決めておく必要があります。

⑦ 大規模改修専門委員会の設置を考えてみませんか。

大規模改修工事に該当年度の理事会で取組むのは大変です。管理組合で諮問委員会として組 合員の中から建物や付帯設備などに知識がある方を選任組織し、(そのような人材が得にくい 場合は、他のマンションと連携し、一緒に取り組む。)早くから改修内容点検と実施時期の案 を作成し理事会に答申する。次に、入札参加業者の選定は管理会社に任せない方法もあります。 長崎県マンション管理組合連合会は、大規模改修に関する講習会を開催するなど様々な活動 を行っています。活用されてはいかがでしょうか。

⑧ 規程改定専門委員会の設置を考えてみませんか。

国のマンション関係法律整備に基づき、管理組合が不利益を被らないように管理規約などの 点検を行う専門委員会を理事会の諮問機関として組織してみませんか。 長崎県マンション管理組合連合会では、規程改定のためのお手伝いをしています。

⑨ 役員報酬制度がありますか。

役員は組合員の輪番制で決め、その役割を果たすことが前提にあり、組合員全員がその役割 を分担するのであれば、報酬制度の有無は問題にならないのが普通です。一般的に高齢に伴う 理事の辞退や賃貸による理事になれない住戸が多い場合など、区分所有者による不公平感がつ のっているケースなどは、その不満を解消する手段として役員報酬に相当する金額を協力金と して該当者から徴収する方法が考えられ、検討してみてもよいという見方もあります。理事会 参加者には日当を支給する方法もありますが、全員が支払った組合の管理費から役員義務を負 担せずに受益する組合員の経費負担はこのままでよいのかの意見もあります。

⑩ 時系列的に出来事を整理していますか。

建物や建物付帯設備などの修理がどのように行われたか整理しておくと同様なことが起きた場合、過去の取り組みを参考に効率的な取り組みができます。また、理事会、通常総会での決議内容なども同様な資料を作成しておくと、円滑な運営が期待できます。 長崎県マンション管理組合連合会では、加盟マンションで行った建物や建物付帯設備な どの修理を行った情報を提供できる場合があります。